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建築-7

 岩国徴古館
 ずっと訪れてみたかった岩国徴古館。 67年前、終戦の年の完成らしく「竹筋コンクリート」という噂があるのも頷ける。 軍需施設以外におそらくほとんど新築の建物など建っていなかったであろう時代に、建築が作れるという佐藤武夫の喜びが伝わってくる。
 これは裏側の外観。 かなり無骨な印象だが砂利とセメントで作られたプレキャストパネル(?)がいい味を出している。 しっかり時間を受け止めることができる素材。
岩国



 パネル詳細。 かなりラフなテクスチャーに几帳面すぎない目地がいい。
岩国



 エントランスホール見上げ。 ここも外壁と同じ素材が使われている。
岩国



 展示室内部の印象はがらりと変わってしっくいのアーチが清楚な印象を与えている。
岩国



 戦争で不足している鉄は使えないが、何とか曲線の階段にしたかったんだろうな。 思いの強さがよくわかる階段。
岩国



星野哲郎記念館
 同じ日に佐藤総合計画つまり佐藤武夫が作った事務所の最近作(2007年)を観た。 やはり隔世の感がある。 この建物は67年後どうなっているだろう。




 組織事務所の作品にしては、ずいぶん冒険的な作りだと雑誌掲載の時から機会があれば見てみようと思っていたが、岩国徴古館とセットで観るとより違いが際立って興味深かった。




 I.M.ペイの設計したワシントンD.C.にあるナショナルギャラリー東館もずいぶん尖ったところがあって、思わずなでさすったことがあるが、ここもかなり尖っている。
 ただし、さすがにコンクリート打放しでこの角度は無理があるようで、裾の部分の補修箇所が割れていた。




広屋団地(現代計画研究所)
 星野哲郎記念館と同じ周防大島で偶然見つけた木造団地。 以前建築雑誌で見ていたので運転中ちらっと見ただけで反応できた。




 調べてみると、16年経っているようでしっくりとまわりに馴染んでいた。 間の広めの路地のようなところで立ち話をしている人がいて、設計者がみたらうれしいだろうなと思いながら見学した。

 

建築-6

 バーゼル ユニオン銀行
 学生の頃マリオ・ボッタにあこがれた。 その後、いくらか好みからはずれてきたがきっちりとした作り方は好感が持てる。 これもボッタらしさにあふれている。
 通りに電柱はあるが、日本のようにトランスがないので割とすっきりしている。



 丸窓の詳細。 カルロ・スカルパゆずりの納まり。


バーゼル シグナルボックス
 
写真ではわかりづらいが、内部は鉄道の信号を管理する事務所(?)のようなスペース。
列車からの見え方が気になって、わざわざ用のないのに一駅分列車に乗った。 これまでまったく見たこともない建築で、わくわくした。


近寄ってみると、銅板の微妙な曲げで形作られる微妙な表情があった。



バーゼルの集合住宅
 
学生の頃、いつかリヴィオ・ヴァッキーニの建築を見たいと願っていた。 念願が叶ってバーゼルでいくつか出会うことができた。 これはそのうちのひとつ。
 思った通りひっそりとした佇まいで、強い自己主張などとは無縁のプロ好みの建築だった。


フレームレスのガラス引戸と外付けのブラインドがすっきり納まっている。


これは設計者は違うが近くで出会った「絶対に外壁を汚さない」という気合いの入った水切のディテール。


バーゼル リハビリテーションセンター

 こんな豊かな医療施設は見たことがない。 緑豊かな敷地にゆったりと2階建て、多くの中庭を内包しており色々な方向に視線が通る。


 木製サッシュがむやみに大きく開放感がある。 中庭の「雑草」のような植栽計画がいい。


駐輪場の鉄製の扉。 こういうささやかな遊び心にいたく感心する。 自転車をぶつけて多少曲がっても気にならないデザイン。



バーゼル バイエラー財団美術館
 チケット売場のガラス庇が潔い。 出来そうでできない解決方法だ。
 

手前にお金やカードをのせると中の人が丸い部分をくるりと回転させてそれらを受け取り、代わりにチケットをのせてまたくるり。 これなら寒い季節も外気がほとんど入らない。 つまりお金のための回転ドア。

建築-5

丸亀市 猪熊弦一郎現代美術館・図書館
 完成して間もない頃に一度訪れて以来、久しぶりに見学した。 外壁の天然スレート(バーリントンスレートという石そうだ)の鉄分が現れたのか、以前に比べていくらか赤い縞が見えている。
 改めて、抑制が効きつつ、メリハリがあって大胆だと感じた。
いのくま



同上 内部吹き抜け
 この時点で完成後14年経っているが、竣工時のすがすがしさをそのまま保っていることに心を打たれる。 いつまでもこの状態を維持してほしい。 単なる階段がなぜこんなに美しいのだろう。 思わずため息が出る。
いのくま


兵庫県立美術館
 立地が大雑把な埋立地のせいか、建物もそれに呼応するように大味な印象だった。 街区が大きいためアプローチも建物が見えてから延々歩かなければならず、ハード。
兵庫県立美術館



ランニング・グリーン・プロジェクト
 山口県の日本海側を車で走っていてこれを偶然見つけたときはうれしかった。
思わずブレーキを踏み(追突されなくてよかった)わくわくしながら見学した。
日本のレンゾ・ピアノか、と思った。 三分一さんにはいつも期待している。
Running Green Project



同上 柱脚
 
ディテールも美しい。 耐久性は大丈夫かなと少し心配になるが、今まで数年おきに3回ほど見学したが、まだ問題はなさそう。
Running Green Project



同上 男子トイレ
 トイレも美しい。 とても気持ちのいい空間になっている。
Running Green Project

建築-4

北野アレイ
 何年ぶりかで訪れてみると、打放し部分は塗装されていた。 残念。
しかし、スケール感の親しみやすさは以前のまま。 なつかしい。
北野アレイ  



ローズガーデン
 これも思い出深い建築。 ふたつのヴォリュームを平面的にも断面的にもずらしながら隙間をあけることで、敷地形状と高低差にうまくなじませ豊かな半屋外空間を作り出している。
ローズガーデン



北野アイビーコート
 学生時代に永島くんと見学に来たことを思い出す。 蔦も育ち、外壁の煉瓦タイルも味わいが出ている。
北野アイビーコート



リンズ・ギャラリー
 複雑な動線は建築好きにはこたえられない魅力があるが、一般の客にはあまりうけよくないのか、わりとひっそりとした印象。

リンズギャラリー



ウォールアベニュー
 このむずかしい敷地をものともせず、果敢に挑戦する姿勢はすごい。
ウォールアベニュー


気持ちはわかるけど
 私たちのような何も買わずにウロウロ、キョロキョロしているだけの見学者は迷惑なんでしょうが、ここまでする例もめずらしい。
ウォールアベニュー

2008年〜2010年 読了本

世界は分けてもわからない
 哀しいことにだんだん、本が読めなくなった。

さっきまで優しかった人,片岡義男  夏目漱石全集 5,夏目漱石  大人は愉しい,内田樹・鈴木晶  鬼平犯科帳 1,池波正太郎  オーデュボンの祈り,伊坂幸太郎  カテドラル,デビッド・マコーレイ  「給食」って誰のもの?,河野淳治ほか  熊の敷石,堀江敏幸  夏目漱石全集 6(門・彼岸過迄),夏目漱石  村上ソングズ,村上春樹・和田誠  ティファニーで朝食を,トルーマン・カポーティ  笑う未亡人,ロバート・B・パーカー  ひとりでは生きられないのも芸のうち,内田樹  未亡人の一生(上),ジョン・アーヴィンク  未亡人の一生(下),ジョン・アーヴィング  ありがとうございません,檀ふみ  ラッシュライフ,伊坂幸太郎  磯崎新の都庁,平松剛  郊外へ,堀江敏幸  佐藤可士和の超整理術,佐藤可士和  パニック・裸の王様,開高健  新・東京23区物語,泉麻人 東京奇譚集ー2回目,村上春樹  河岸忘日抄,堀江敏幸  回転木馬のデッド・ヒートー3回目,村上春樹  スプートニクの恋人-2回目,村上春樹  真相,ロバート・B・パーカー  建築家 安藤忠雄,安藤忠雄  うちの猫ら,吉松文男・直子  夏目漱石全集 7,夏目漱石  火と水と木の詩 私はなぜ建築家になったか,吉村順三  ほんとうの環境問題,池田清彦・養老孟司  サーカスの息子(上),ジョン・アーヴィング  昭和のエートス,内田樹  神も仏もありませぬ,佐野洋子  夏目漱石全集 8,夏目漱石  1Q84(BOOK1),村上春樹  1Q84(BOOK2),村上春樹  ある日の村野籐吾,村野敦子  すまいの風景 Come on-a my house2,中村好文  サーカスの息子(下),ジョン・アーヴィング  建築への思索−場所を紡ぐ,益子義弘  蕎麦処 山下庵,山下洋輔  生物と無生物のあいだ,福岡伸一  磯崎新の発想法,磯崎新  うちの猫ら2,吉松文男  回送電車,堀江敏幸  世界は分けてもわからない,福岡伸一  美しいもの,赤木明人  夏目漱石全集 9,夏目漱石  めくらやなぎと眠る女,村上春樹  日本辺境論,内田樹  冷たい銃声,ロバート・B・パーカー  1Q84(BOOK3),村上春樹  黄昏,南伸坊・糸井重里  建築の地層,磯崎新  美しいこと,赤木明登  "中村好文 普通の住宅、 普通の別荘",中村好文  建築における「日本的なもの」,磯崎新  "さよなら、愛しい人",レイモンド・チャンドラー  告白,町田康  造物主議論 デミウルゴモルフィズム,磯崎新  めぐらし屋,堀江敏幸  人体の影 アントロポモルフィスム,磯崎新  文房具を買いに,片岡義男  神の似姿,磯崎新  コンスタンティノープルの陥落,塩野七生  夏目漱石全集 10,夏目漱石  建築家のおくりもの,磯崎新  暗号解読(上),サイモン・シン  レパントの海戦,塩野七生  新建築学大系31 病院の設計,  暗号解読(下),サイモン・シン  "村上春樹、河合隼雄に会いにいく",河合隼雄・村上春樹  シャーロック・ホームズの冒険,コナン・ドイル

建築-3

 グラントワ 2010.9.12見学
  大変な力作だった。 内藤さんの建築はこれまで、東京のTOM、いわさきちひろ美術館、虎屋を見たが、間違いなくこれがもっとも良くできている。
 屋根・外壁の瓦と中庭の水盤。
グラントワ1



多摩美図書館 2009.10.31見学
 多摩美は九州から行くには、かなり不便な場所だった。
この図書館は建築として大変過激な意味をもっているにもかかわらず、むしろ静かな佇まいだった。
多摩美-1


公園-2
 これも日本ではお目にかかれない公園。
おそらく防犯のためもあるだろうが、視線がすっと通り死角がない。

 きっちりと敷き詰められた石畳と樹木の対比がすばらしく「これらの樹はずっと残すんだ」という意志が感じられる。
 あれもこれもと付け足して盛りだくさんになったあげく、この公園での禁止事項を連ねた看板でこれでもかと人を規定したがる日本の公園と違い「引き算の公園」といった趣がある。

公園-2


公園-1
 こういう公園がなぜこの国にはないのか。
いわゆる子供向けの遊具がない。
芝と樹木だけ。
芝の管理がきちんと行われている。
樹木が大きい。
ちまちまとした街路樹や歩道脇のひねた植込みをむやみに増やすより、こういうシンプルな公園を作っていった方が管理費もかからず、はるかに気持ちが良い。
 予算消化のために縁石を御影石にするよりは、縁石そのものをなくすことを考えるべきだろう。
公園-1
ベルリン ドイツ歴史博物館
 I.M.ペイの建築は非常に完成度が高い。 そして同時に安易な方向に流れることなくいつも果敢に挑戦する姿勢に頭が下がる。
 ルーブルの螺旋階段も大変美しく緊張感にあふれた造形だが、こちらの階段も軽やかで気品に満ちた階段として永く建築史に残っていくだろう。 無垢の石と無垢の鉄、ガラスが醸し出す「本物感」とそれらを極限まで使い切っているすがすがしさがあった。
 ところで、同じペイが設計したワシントンD.C.に建つナショナルギャラリー東館は鋭角に尖る外壁で有名である。 出隅部分をなでさすり、その尖り具合に感動した日から22年の時間が流れた。 なんということだ。
ドイツ歴史博物館


みどりの天蓋
 これまで見た中でもっとも美しく豊かな駐車場。
ベルリンの「マーティン・グロピウス・バウ」
 こころなしか、車たちも居心地がよさそう。
ベルリン-駐車場

Billie Holiday / Lover Man

BILLIE HOLIDAY / LOVER MAN
 ビリー・ホリデイは不思議な歌い手だ。
特別に美しい声の持ち主というわけではない。 一般的に言って、歌が極端にうまいわけでもない。(とくに「クスリ」の影響もあり後期の彼女の声域は極端に狭く、痛々しいくらいだ)
 しかし、にもかかわらず彼女の声は魅力的であり、その歌唱は誰にもまねできないある種の「いつくしみ」に満ちあふれている。
 深くもあり、軽やかでもあり、暗くもあり、かわいらしくもある。 そして愚かなことに、ずっと聴き続けてやっとわかったが、彼女はすごくうまい。
 このアルバムは大学生協で見つけ、臼杵の大仏のようなジェケット写真に抵抗感を覚えつつも購入した思い出がある。 たしか1300円だった。
 バッキングはいわゆるコンボではなく、ストリングスとコーラス付の演奏で、その頃(いまでもそうだが)青二才の私は、その「甘さ」をばかにしつつ聴いていた。
 しかし、結果的になぜかターンテイブルに乗る回数がもっとも多いレコードのうちの一枚になった。

堀部安嗣の建築  堀部安嗣

堀部安嗣の建築
 堀部さんは私よりも若いけれどあこがれの人だ。 若くて優秀な建築家はたくさんいるけれど、その人と同じ方向をめざしたいと思わせる人はそれほど多くはいない。
 誠実で無駄がなく、つつましやかで、かといって貧しくもなくシンプルで、簡素だけれど日々のくらしを切り捨てたりせず、暖かみがあるけれどべたべたせず、という建築はきっと彼の人柄があらわれているのだろう。
 当然中味もすばらしく、自身で撮った写真も設計者ならではの観点で、文章も真摯でありつつ嫌みがなく、図面も装丁も美しいというまったく非の打ち所がない本だ。

Abbey Lincoln / You Gotta Pay the Band

You Gotta Pay the Band
 アビー・リンカーンは怒るとずいぶん怖かった。
10年ほど前、ブルーノート・フクオカでのライヴに行ったとき、彼女の歌をろくすっぽ聴かずにがやがやとしゃべっていた接待サラリーマン風の男たちをステージの上から睨みつけ、すくみ上がらせた光景が目に焼き付いている。
 しかし、そういう腹のすわった女性でなければこのような深い味わいをもった歌を作り出すことはむずかしいのかも知れない。
 特に1曲目の「Bird Alone」と4曲目の「Brother, Can You Spare a Dime」がいい。
 しかし、もっとも惹かれたのはスタン・ゲッツのソロ。 彼の歌心がもっとも表れたプレイのひとつだろう。

2007年 読了本

いつか王子駅で
2007年はこんな本たちと出会った。(どれも律儀に最後まで読んだが、結局出会えない本もいくつかあった)

老化とは何か 今堀和友、 私たちが孤児だったころ カズオ・イシグロ、 老いはこうしてつくられる 正高信男、 昭和33年 布施克彦、 Herzog &de Meuron 1987-2002 Herzog & de Meuron、 ローマ人の物語 15 塩野七生、 これだけは、村上さんに言っておこう 村上春樹、 鹿児島の原風景 田良島昭、 私家版・ユダヤ文化論 内田樹、 下流志向 内田樹、 チャンス ロバート・B・パーカー、 彼らの流儀 沢木耕太郎、 ロング・グッドバイ レイモンンド・チャンドラー、 鳥人計画 東野圭吾、 悪党 ロバート・B・パーカー、 夏目漱石全集 4 夏目漱石、 逆立ち日本論 養老孟司・内田樹、 ノルウェイの森(上)-2回目 村上春樹、 ノルウェイの森(下)-2回目 村上春樹、 狼少年のパラドクス 内田樹、 突然の災禍 ロバート・B・パーカー、 包帯クラブ 天童荒太、 逃げていく愛 ベルンハルト・シュリンク、 くっすん大黒 町田康、 チョムスキー入門 町田健、 文化人類学の視角ー2回目 山口昌男、 きれぎれ 町田康、 日本男児 赤瀬川原平、 蹴りたい背中 綿矢りさ、 街場の中国論 内田樹、 eメールの達人になる 村上龍、 沈黙 ロバート・B・パーカー、 村上ラヂオー2回目 村上春樹・大橋歩、 津軽ー2回目 太宰治、 桜の園・三人姉妹 アントン・チェーホフ、 賃労働と資本 賃金、価格および利潤 カール・マルクス、 国境の南・太陽の西ー2回目 村上春樹、 夜勤刑事−2回目 マイクル・Z・リューイン、 私の建築手法 '04 妹島和世ほか、 ハガーマガーを守れ ロバート・B・パーカー、 近代絵画史(上)ー2回目 高階秀爾、 マリナー氏の冒険譚 P・G・ウッドハウス、 ポートレイト イン ジャズー2回目 和田誠・村上春樹、 ポートレイト イン ジャズ 2ー2回目 和田誠・村上春樹、 近代絵画史(下)ー2回目 高階秀爾、 刑事の誇りー2回目 マイクル・Z・リューイン、 いつか王子駅で 堀江敏幸、 海辺のカフカ(上)ー2回目 村上春樹、 海辺のカフカ(下)ー2回目 村上春樹、 ポットショットの銃弾 ロバート・B・パーカー、 村上春樹にご用心 内田樹、 走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹、 雪沼とその周辺 堀江敏幸、 フェルマーの最終定理 サイモン・シン、 リンボウ先生 イギリスへ帰る 林望、 どうして僕はこんなところに ブルース・チャトウィン、 

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